カリグラフィー作品制作過程/SpringBird
カリグラフィー作品制作過程/SpringBird

こんにちは、出口です。

今日は作品制作の過程を書いていきます。前回「Boys&Girls」というマザーグースの詩の作品が完成したので、新しく違う物を作って行こうと思います。

↓前回作った作品はこちら

作品制作も数をこなして行けばどんどん上手くなるはずなので、次々作って行こうと思います。作っていると納得行かないな〜と途中何度も思う場面に遭遇するのですが、そこでやっぱりイチから作り直そう、ということをやっているといつまで経っても完成しないので、とにかくいったんは完成させることに重きを置いて、気に入らなければブラッシュアップして行こうと思います。

それでは作っていきます。

作品用の文章を選ぶ

まず作品に使用する文章を選びます。カリグラフィーは西洋書道なので当然英語の文章を。今回はエミリー・ディキンソンの詩「I have a Bird in spring」という詩を書くことにしました。エミリー・ディキンソンは19世紀の詩人で(19世紀の人多い・・・)1,000以上の詩を残してそれが死後評価された人です。繊細な文章が多く、植物や昆虫(蜂とか)、動物(鳥とか)を擬人化して人間の感情を歌うような表現が多く見られる印象です。

エミリー・ディキンソンの詩には特にタイトルがあるわけではないので、今回の作品のタイトルは「SpringBird」としました。この詩はエミリーが親しかった友人とある時期から価値観の違いで別れることになった自分の感情を歌った唄です。

詩の一説

春のあいだは鳥が春に惹かれて訪れ――わたしのために歌う。やがて夏が近づき――やがて薔薇が顔を見せると、駒鳥は行ってしまった。

友人と親しかった時期「春」がすぎ、薔薇が咲き始める頃になるとコマドリ(友人)と疎遠になってしまった、という事ですね。

でも泣き言は言わない なぜなら知っているから 飛んで行ってしまっても――海の向こうで新しいメロディを覚えて戻って来てくれることを。

詩の註釈を読むと、これは友人とまたいつか元通りの関係に戻れるというよりも、今まで私は大切なものを捨てなければいけない場面がいくらでもあった。だから私は終わったことをただ詩にするだけ。私のことは気にしなくていいから自分の道を進みなさい、私は私の丘を目指すから、という友人へのメッセージのようですね。「鳥が戻ってくる」というのは友人が戻って来るのではなく、自分の生き方はすでに決まっていて、今は少し悲しいけどまた元通り自分の軸を取り戻すことができるというような意味合いなんだと個人的には解釈しました。

とにかく今回はこの詩をテーマにして作品を作ろうと思っています。

書体を考える

本文はスペンサリアン書体で書いていきます

本文はスペンサリアン書体で書いていきます

文章が決まったら使用する書体を考えます。前回の作品では本文にイタリック書体を使いましたが今回はスペンサリアン書体で書こうと思っています。繊細で自然の有機的な表現が多いエミリー・ディキンソンの詩はポインテッドの方が合いそうに思えました。

↓ポインテッドニブとブロードニブの違いはこちら

書体を選ぶ時は作品がどんな情景や感情を歌っているのかを自分なりに解釈してなるべくそのイメージに合いそうなものを選ぶようにしています。カッパープレートとも悩みましたが、この人は19世紀アメリカの詩人みたいなのでスペンサリアンがちょうど良さそうですね。

本文を書き出してレイアウトする

1行ずつ並べてレイアウトする

1行ずつ並べてレイアウトする

文章と書体が決まったら、実際に文章を書き出して本文のレイアウトを決めて行きます。まずは方眼紙などグリッドがある紙に文章を1行ずつ書いて見ます。文章を全部書き終わったら、一行ずつカッターでカットしてそれを大きな紙に並べていき、それを動かして1行ずつどこまでの文章を入れていくか、改行をどうするかなど文字の配置を決めて行きます。

この作業が一番地味で大変な部分かもですね。今回は選んだ書体がスペンサリアン書体なので、並べた文字にどのようにフローリッシュ(※)をつけていくかも後ほど考えます。

フローリッシュは文字につける飾りです。文字としての意味はなく余白を埋めるためにつけたり、文字そのものを優雅に見せるための装飾的な役割です。

いったん全ての文字を配置してみました。

文字サイズを調整する

文字サイズ3mm

文字サイズ3mm

小文字の高さを3mmに設定して書いてみましたが、文章量が多く少しキツイ印象です。本来は紙の大きさで決めるのではなく、書きたい文字サイズによって大きな紙を用意していくものだと思いますが、これ以上大きな紙を本番紙に選ぶと現状自分の部屋もそんなに広い訳ではなく保管場所に困りそうなので、用意した本番紙に収まる文字サイズに変更しようと思います。すでに小文字サイズ3mmなので、下げると2mmになってしまいますが仕方ありません。というわけで再度方眼紙に今度は小文字サイズ2mmで書いていきます・・・・・汗

文字サイズ2mm

文字サイズ2mm

大きさ的には丁度よく収まりました。うーん2mmだとだいぶ文字が小さい・・・

まあでもスペンサリアンは19世紀頃の作品を見ると小文字のサイズを極端に小さく書いているようなものもたくさんあるので大丈夫でしょう。以前見に行ったゴシック写本の展示でもありえないくらい小さい文字で書かれた写本がたくさんありましたしね。

↓文字が小さすぎるゴシック写本の記事はこちら

とにかく本文のレイアウトは完成です(フローリッシュ部分はまた考えなければいけませんが)。ここからタイトル部分を考えていこうと思います。

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